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ペイウォールコンテンツのSEO戦略を構築する方法

メディアやクリエイターは、トラフィックと収益の間でちょうど良いバランスをとることが求められます。メディアサイトやポートフォリオサイトの広告収益が十分でない場合、収益性を高めるためにサブスクリプションを優先して、コンテンツよりも課金ゲートやペイウォールを多用してしまうことがあります。

こうしたアプローチがサイトの一部であろうと大部分に関係するものであろうと、SEO施策全体に影響をもたらす可能性があるのは明白です。しかし、コンテンツ課金を行っているからといって、ユーザーにコンテンツを見て欲しくないことにはなりません。

ユーザーは存在がわかるものにしかお金を支払いません。これこそが、コンテンツを見てもらえる状態にしておくべき理由です。そしてそれこそが、ペイウォールを適用したコンテンツに対してもなお、そのマーケティングにおいてSEOが非常に重要な役割を果たすといえる理由です。

この記事では、ペイウォールコンテンツのSEO戦略の構築に実際にお役立ていただけるポイントをいくつかご説明します。はじめる前に、まず用語の定義やその説明を行うことで読者の皆様との認識を合わせながら進めていきたいと思います。
 

 

ペイウォールとは

IONOSというマーケティング関連メディアは、ペイウォールlを「有料のサブスクリプションを通してオンラインコンテンツの利用を制限する方法」と定義しています。ペイウォールはいわばデジタル版のゲートとして機能して、ユーザーは該当料金の支払いかサブスクリプション登録を行った場合にのみ、その先のコンテンツを利用することができます。

一部のメディアでは、すべてのコンテンツ閲覧にサブスクリプションが必要となるハードペイウォールが採用されています。その他のメディアでは、少量のコンテンツを閲覧したあとでコンテンツの利用制限がかかる仕様になっており、これは一般にメーター制ペイウォールと呼ばれています。

ft.com (Financial Times) はこの例に当てはまります。ユーザーは簡単なアンケートの回答を入力後、GoogleニュースからFT上のニュース記事を閲覧できますが、その後サイト上の他の記事を読むためにはFTのサブスクリプションが必要になります。

Financial Times Google News

また、ソフトペイウォールやフリーミアムモデルと呼ばれる第3のペイウォールも存在します。これは、無料のコンテンツを幅広く展開し、一部記事へのアクセスを有料化するというものです。IONOS によると、このペイウォールはフランスやドイツで広く利用されている一方で、例えば英国ではメディアの5.5%だけがこの方法を採用しているなど、他国ではあまり主流とは言えない状況です。
 

 

ペイウォールを採用する理由

ペイウォールは、サイト上のコンテンツをマネタイズする1つの方法に過ぎません。読者の大部分がオンラインでニュースにアクセスするようになる前は、新聞や雑誌の売上に長きにわたり依存してきたメディアにとって、サイトコンテンツの収益化はとりわけ重要です。

他にも広告収益のようなマネタイズ手法があるため、すべてのメディアが必ずしもペイウォールを採用するわけではありません。しかし、ペイウォールはメディアに限らず広い業界で使用されているマネタイズ方法であることは間違いありません。

このモデルは、一部のコンテンツは無料で利用できて、その他の部分はペイウォールの後ろに隠されているオンライン講座などにも適しています。対面でのトレーニングセッションに参加できる人が少なく、代わりにオンライン講座に頼ってきた一年で、これは特に注目されています。
 

 

ペイウォールコンテンツのためのSEO

それでは、ペイウォールコンテンツのSEO戦略を実際に構築する方法に話題を移しましょう。専門がテクニカルSEOだあろうと、コンテンツSEOだろうと、すべての読者の方にとって有益な内容です。

テクニカル面

テクニカルSEOの側面についてバイアスがかかっている部分があると思いますので(この点で当社のツールはメディアの技術的問題を解決してオーガニック検索におけるビジビリティを最適化するものです)、まずはテクニカル面から説明していきたいと思います。

はじめは構造化データについてです。JSON-LDのスキーマを使用することで、サイト上のすべてのペイウォールコンテンツをCreativeWorkプロパティで指定することができます。これを行わないと、Googleがサイトコンテンツの一部をクローキングと認識するリスクがあり、ガイドライン違反になってしまいます。

これに関する詳細はGoogleが公開したペイウォールコンテンツに関するドキュメントでご確認いただけますが、重要なポイントを以下にまとめました。このリソースには、「サイト上でコンテンツをサブスクリプションに基づいて提供している場合、またはインデックスさせたいコンテンツの利用にユーザー登録が必要な場合」にとるべき手順が記載されています。

example structured data for news
手順:

  1. ページのペイウォールが適用されている箇所にクラス名を追加
  2. 適切な構造化データを追加(この例では、NewsArticleが適切)
  3. NewsArticleの構造化データに特定のJSON-LD構造化データを追加(上記で参照したリンクから入手可能)

ページ上にペイウォールが適用された箇所が複数ある場合は、クラス名を配列として追加する必要があります。

次に考慮するべきなのは、多くのメディアサイトがモバイル端末上で素早くコンテンツを読み込ませるためにAMPを使用している点です。このドキュメントでは、AMPとサブスクリプションモデルを両方使用している場合について具体的に言及しているので、全文をお読みいただくことをおすすめします。

こうした技術的な要素は、正確な実装をしなければオーガニック検索のパフォーマンスに悪い影響をもたらす可能性があるため、SEO戦略に組み込むことが非常に重要です。必ずコンテンツは検索エンジンが閲覧できる状態にしておきましょう。

コンテンツ面

ペイウォールがあるサイトのクロール要素やインデックス要素が技術的にクリアになったら、次はSEOコンテンツ戦略を立てるフェーズに移りましょう。

キーワード戦略は、本質的にはユーザーの検索意図への対応に他なりません。つまるところ、例えばアクセス数が高く、話題のものを探している人に対しては、まさにこれに関連したコンテンツこそウェイウォールを使って提供するべきコンテンツとなります。

英国では、The TelegraphやThe Timesのような権威性の高いニュースサイトがペイウォールを採用する傾向にあります。同様に、米国ではThe New York TimesやThe Wall Street Journalなどの良質なメディアが同様のアプローチをとっています。

Wall Street Journal Paywall

その一方で、タブロイド紙などのメディアでは記事の質よりも量という方針をとることがあります。(だからこそタブロイドは広告配信モデルを使用することが多いです)

そのため、広範なユーザー意図をカバーする検索ボリュームの大きいキーワードよりも、具体的な(狭い)キーワードを使ってコンテンツを最適化すると良いでしょう。ユーザーがサイトにアクセスした時にサブルスクリプションしたいと思わせるという点では、明確に自分がほしい情報を提供することでその可能性を高めることができます。

コンテンツに関してもうひとつ考慮するべきなのは、ペイウォールを適用したページに検索エンジン経由で訪問したユーザーへの表示内容を決めることです。コンテンツページの上部に表示されるエグゼクティブサマリ(導入部分としても知られる)を入れることはおすすめの方法です。ここで、記事の内容を説明することができます。

これを行う利点は、リッチスニペットにコンテンツを表示する上で役立つ構造化データをエグゼクティブサマリに適用することができるという点で、これにより検索結果内でのコンテンツのビジビリティが大幅に改善する可能性があります。

導入部分には、次のような要素を入れると良いでしょう。

  • 適切な見出し(ベストなキーワードで最適化したもの)
  • コンテンツのサマリや主なトピック、ユーザーが得られる情報
  • 記事内の疑問点や統計、その他客観的な要素のリスト
  • ペイウォールの先に含まれている内容(例:メディアの形式やここでしか手に入らない情報など)

 

 

対策の実施

これで、ペイウォールについて、そしてSEOの観点からこのコンテンツモデルを活用する方法についての理解を深めていただけたかと思います。そして、次の要素への対応を忘れずに行うようにしてください。

  • コンテンツを確実に検索結果に表示するためのテクニカルSEO
  • コンテンツを検索結果に表示する理由を明確化するコンテンツ戦略
  • コンテンツやサイトの定期購読をすることで有益な情報が得られるとユーザーに納得させる対策